右下の7番のカリエスで、他院よりの依頼です。また、6番にも大きな病巣が見られます。パノラマX線でここまで明瞭に見られるのは珍しいんではないかと思います。7番については、根管がかなり曲がってますが、最初の段階からきちんとすれば大丈夫そうです。ただし、湿潤麻酔が奏功するか心配でした。そこで、患者さんには予め下顎孔伝達麻酔を行う旨を説明させて頂いて、処置にとりかかりました。けれども、伝達麻酔でも歯の神経の除痛は完全ではなかったため、湿潤麻酔、および髄腔内麻酔を併用しました。(麻酔のフルコースです。)これで、麻酔が十分に奏効したので抜髄を行いました。最初の08ファイルで十分に時間をかけたので、1時間30分ぐらいはかかりました。根管が長く、また根尖での湾曲も強かったので#25番までの拡大として、後日根管充填しました。根管充填の際も、湿潤麻酔、ラバーダムを行ってからの処置だったので1時間ぐらいかかったかな?もう少しストレートラインアクセスを大きくしても良かったかもです。遠心根が太く見えますが、これは根が扁平だからです。 下の7番の抜髄は疲れる〜〜ですね。さて、7番が終わったら今度は6番です。根管を開けてみると近親頬側根からの排膿が激しかったのでここが、原因根と考え治療を開始しました。かなり、若い頃に抜髄をしたのか、今度は#40のリーマーもするする入っていきます。拡大もしっかりして、今回は根管洗浄を十分に行っての根管充填です。根管充填の方法はCWCTです。若干シーラーがはみ出てますが、特に問題はありません。この後は、紹介元の先生にしていただくようにお話しました。
CTとマイクロのコンビネーション その2
今回もCTがなければ診断が困難で、マイクロがなければ治療できなかった症例です。
術前ですが、右上6番に違和感、咬合痛がありました。口蓋根には破折したポストも残っていましたが、これは難なく除去できました。根管も全部きれいにしたつもりなのですが、違和感が消えない、、ということでCT撮影を行いました。
CTを撮影してみると、なんと、、パノラマやデンタルx線では不明瞭でしたが、明確な病巣が近心根にありました。しかも、近心頬側根が2根ありました。マイクロでもう一度確認し、なんとか、探しだして根管充填を行いました。
術中のCTでみると、上顎洞のシュナイダー膜の肥厚もなくなり、症状も消えました。
その後、根管充填を行いました、近心頬側第二根管はNTコンデンサーで、その他の根管はCWCTで行っています。
根管充填方法について その2 長所と短所
根管充填方法について その1
CWCT による根管充填
CWCT その2
実際のCWCTの方法ですが、根管形成を終わったあと、プラッガーを試適します。このとき、根管長とサイズを考えての位置づけがかな〜り重要です。(このページの写真はすべて Cohen’s Pathways of the Pulp, 10th Editionからの引用です、Refer from Cohen’s Pathways of the Pulp, 10th Edition)
次に、プラッガーでダウンパックを素早く行い、バックフィルを行い終了です。途中のプロセスはマイクロを使い確認するのが無難なようです。処置中は、根管がやや熱くなるのと、ダウンパックを作るときに痛いときがあるので、麻酔をした方がいいと思います。(というか必須です。)根管にシーラーをつけて、マスターポイントを挿入、上部を焼き切って形を整えます。
ダウンパックしてるところです。もう少し深いほうがいいと思います。そのため、根管拡大をやや大きめにしないといけないのが、この方法の欠点だと思います。そのため、長い根管や樋状根は別の方法で根管充填を行わないといけないのですが、。
バックフィルをおこなっているところです。この辺りが一番手技的には困難なところです。