インレー形成前のスケーリングと歯肉形成

 意外と最後方臼歯の修復は予後をよくしようと思うと意外に大変。大体は後年になって遠心隣接面の2次カリエスや歯周病を誘発していることが多い。

より良い予後を得るために、インレー形成の前処置としての歯石の確実な除去、歯肉のマネージメントが必要なことが多いです。この動画では前半で遠心部分の除石を行ってます。0:54~ぐらいから遠心部から歯石が出てきているのがわかります。これを残したまま修復をおこなっていたらと思うと、、

動画の後半は、歯のくぼみに張り出してきた歯肉の対処です。歯肉圧排でもいいかもしれませんが、麻酔を行っていることと、今後のことを考えてEr-YAGレーザーでの切除を選択しました.

 

 

大臼歯分岐部におけるマイクロスケーリング

大臼歯の分岐部のスケーリングは非常に困難です。たとえオープンフラップしたとしてもその解剖学的形態から困難です。分岐部をスケーリングの困難さについては色々文献がありますが、その結果を裸眼で判定した場合、マイクロ下で判定した場合では大きなさがでるのではないだろうか?裸眼で歯石がとれたと思っていても。マイクロ下ではそうでもなかったりします。下の動画は上顎の6および7をマイクロ下にてスケーリングしている動画です。周囲の歯石除去はあらかじめ衛生士さんにしてもらってます。裸眼では困難な分岐部のスケーリングをマイクロ下で行っています。

マイクロスコープ下でのウルトラソニックインスツルメーション2

その1の動画を見ながら、器具のハンドリング、到達性がいまいちなので反省しました。なので、機具を買い直してさらに、修練をつみました

あとはスケーラーの出力が安定してくれれば、いいんだが、メーカーに一度修理というかチェックにだしたのだが、問題ないと帰ってきた。セナ足のように足先はけいれん気味です。超音波スケーラーはNSK推奨ですね

マイクロスコープ下でのウルトラソニックインスツルメーション1

カタカナばかりのタイトルですが、漢字で書くと”歯科用顕微鏡下での超音波スケーリング”となるでしょうか。歯を抜歯する理由として歯槽膿漏があるのですが、具体的に歯槽膿を止めるためには、歯を支えている組織の崩壊をコントロールする。そのためには組織に炎症をもたらしている要素の排除が必要なのですが、その要素の一つに歯にこびりついている歯石があります。これがかなり困難です!衛生士さんのための歯石除去とかSRPの講座の本をみてみると、とにかく見えないので手指感覚でとかかいてあるけど、まあでかいの歯石は取れても細かなものは取れてないと思うんだが、、、特に顕微鏡下で歯を観察すると思う。

今は、歯科用顕微鏡、防滴ミラー、超音波スケーラーの3種がそろってきたので、このような複雑な部位のスケーリングもできるようになりました。

オーラル プロバイオティクス セラピー

なにかと話題になるプロバイオティクスです。プロバイオティクスとは”腸管常在菌の細菌叢バランスを改善することにより動物に有益な効果をもたらす生きた微生物”(1989,Fuller)と定義されています。有名なところではビフィズス菌とかブルガリア菌が知られています(グリコと明治のリンクに飛びます)。このようなプロバイオティクスを使った治療を”プロバイオティクスセラピー”といいます。

ところで、最近気がついたのですが、かみ合わせが悪い人、歯槽膿漏がある人など口腔にトラブルのある方には同時に便秘がちだったり、下痢しがちだったりとお腹の調子も悪い方が多いように感じました。これは当然で口腔内の細菌叢は、胃や腸の細菌叢の形成に大きくかかわっているからです(口は胃や腸の入り口ですからね)。言葉をかえると口腔内に悪玉菌の細菌が多い人は胃腸にも悪玉菌の細菌が多いわけです。となると抗生剤を服用すると歯周病も治り、胃腸の調子もよくなりそうですよね??けれどもそうはうまくいきません。

img_20160921_165114口腔内でいえば、歯周病原因菌やう蝕病原菌をブラッシングや抗生剤で減らし、一時的に細菌量を減らしたとしても必ずもとに戻ります。また、抗生剤の安易な使用(乱用)は避けるべきです(MRSAなどの耐性菌の発生などの問題から)。そのような意味から症状のない歯周病菌に対して抗生剤を大量に、長期に服用するような治療は慎むべきだと思います。もしものときに抗生剤が効かないとなったら大変でしょ?もしもの時に使用するのが抗生剤でしょ??

では、どうしたらよいのでしょうか?? そこで”オーラル プロバイオティクス セラピー”です。

写真にだしたBioGaia社による製品である”プロデンティス”には”L.ロイテリ菌”が含まれており、歯周病やう蝕の予防効果が期待できます。ライオンからも”歯科用オーラルヘルスタブレット”がでておりこれには乳酸菌[TI2711](乳酸菌LS1)が含まれています。主に”L.ロイテリ菌”はスーパー プロバイオティクスとでもいうか、口腔内だけでなく、胃腸に作用して、下痢、ピロリ菌およびアレルギーなど様々な範囲に効果があるといわれています。それに対して乳酸菌TI2711は口腔内から分離されたプロバイオティクスで、口臭や歯周病予防に効果があるといわれています。

最初に口腔内の細菌を減らすために衛生士さんに、メンテナンスをしてもらい、口腔内の総細菌数を減らします。そこでプロバイオティクスを服用していただいて、悪玉菌の増殖を抑えます。それにより、歯周病やう蝕の予防を目指します。また、腸内細菌を整えることにより様々な恩恵が受けられると思います。

 

歯周組織再生治療 左下6

今回の症例は、右下6番です、冷水痛があり、分岐部からの排膿もありました。ポケットも10mm以上あり、近心根の根尖付近まで骨吸収が進んでいました(赤線で囲った部分)。CT画像をみても結構厳しいです。近心根のみの抜根という手段もあるかもしれませんが、根がきちんと2分割できるかかなり疑問な形態なので、今回は無理です。で、今回の治療方針を考えると選択肢としては、以下の4つが考えられます。術前847436DB0703240036_141115104045

  1. ブリッジ:両側の健全歯を削合しないといけない。削合していいなら、経済的な部分も考えると現実的な選択肢
  2. 入れ歯:一歯のみの入れ歯は患者さんにつかっていただけないかもしれない。:あまり現実的でない選択肢
  3. インプラント:赤線の部分の骨を戻す(GBR)が必要。経済的な負担は大きけれども理想的な選択肢
  4. 歯周組織再生治療:隣在歯の削合もなく、抜歯の必要もないので成功するなら理想的な選択肢

今回は4の歯周組織再生療法を行うこととしました。できれば抜歯をしたくないというのが理由です。術式としてはフラップをオープンして顕微鏡下でのEr:YAGレーザーでの歯石除去と根面処理を行いました。一年後の写真です。もちろん排膿も止まり近心の骨の再生も認められます。歯根膜腔も認められるようになりました。エムドゲインなどの材料が使用できればもっといい結果が得られると思いますが、これでも十分ではないかと思っています。

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歯周組織再生治療 右上4

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術前

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術前

 

術前の写真です、黄色の線は歯石のついてるところです。赤のところは根尖病巣があります。青い線は骨吸収が認められました。もちろん動揺もあり、頬側のポケットからの排膿もありました。患者さんから、歯肉が腫脹しているとの訴えもありました。この時点で抜歯と判断しても良いかもしれません。

抜歯となれば、

  1. 両側の歯を削ってブリッジ
  2. 入れ歯
  3. インプラント

の3つの選択肢があると思います。しかし、インプラントは患者さんが経済的負担ができないということで断念(まあ、あまりオススメもしてません)。入れ歯はもとよりダメと、ブリッジについても5番に自費のクラウンが入っていること、3番が生活歯で綺麗な歯なのであまり削りたくありません。つまり、抜歯してしまうとその後の治療の選択はどれも受け入れがたいものでした。(保険治療に元々そのような考えはそぐわない気もします)

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術直後

で、なんとか抜歯を行わない方法を考えてみるということで、歯周再生治療を試みるということです。

まずは、カリエスもありますし、根尖に病巣もあるので、根管治療を行いました。遠心部分もスケーリングを行いましたが、ここは歯周組織の再生を狙い、顕微鏡下でのEr:YAGレーザーを用いてスケーリングを行いました。この症例ではフラップレスで行いました。フラップレスとはメスを用いて歯肉を剥離せずに行うことです。術直後のX線(左)では、やはり、きびし〜〜〜という感じです。この後、クラウンを入れて様子を見ました。

術後1年です、なんとか安定してきました。遠心部分の骨も安定し、やや再生してきたような気がします。けど、7番は抜歯となりました、、、

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術後:45間に注目

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術後

 

 

 

Er:YAGレーザーによる歯石除去

Er:YAGレーザーによる歯石取り(練習)動画です。

今までの、スケーラーとか超音波チップによる接触型(いわゆる ひっかく)と違い、非接触で歯石が取れて行きます。この非接触で取っていくため、歯に負担をかけない、スメアー層ができない、など様々なメリットが生まれます。特に再生治療には威力を発揮します。

Er:YAGレーザーの基礎と臨床

歯周治療・インプラント治療におけるEr:YAGレーザーの使い方

Er: Yag Laser-Is It Effective for Treatment of Chronic Periodontitis?