今回の症例は、右下6番です、冷水痛があり、分岐部からの排膿もありました。ポケットも10mm以上あり、近心根の根尖付近まで骨吸収が進んでいました(赤線で囲った部分)。CT画像をみても結構厳しいです。近心根のみの抜根という手段もあるかもしれませんが、根がきちんと2分割できるかかなり疑問な形態なので、今回は無理です。で、今回の治療方針を考えると選択肢としては、以下の4つが考えられます。
- ブリッジ:両側の健全歯を削合しないといけない。削合していいなら、経済的な部分も考えると現実的な選択肢
- 入れ歯:一歯のみの入れ歯は患者さんにつかっていただけないかもしれない。:あまり現実的でない選択肢
- インプラント:赤線の部分の骨を戻す(GBR)が必要。経済的な負担は大きけれども理想的な選択肢
- 歯周組織再生治療:隣在歯の削合もなく、抜歯の必要もないので成功するなら理想的な選択肢
今回は4の歯周組織再生療法を行うこととしました。できれば抜歯をしたくないというのが理由です。術式としてはフラップをオープンして顕微鏡下でのEr:YAGレーザーでの歯石除去と根面処理を行いました。一年後の写真です。もちろん排膿も止まり近心の骨の再生も認められます。歯根膜腔も認められるようになりました。エムドゲインなどの材料が使用できればもっといい結果が得られると思いますが、これでも十分ではないかと思っています。